- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
- こんな症状はありませんか?
- 睡眠時無呼吸症候群の原因
- 歯科でできる睡眠時無呼吸症候群のサポート
- 睡眠の質が下がると、日常生活にも影響が…
- 睡眠時無呼吸症候群の治療法
- まとめ
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が断続的に止まったり浅くなったりすることで、体が慢性的な低酸素状態に陥る病気です。主な症状には、いびきや無呼吸、起床時の疲労感や眠気、頭痛などがあり、放置すると高血圧や心筋梗塞、糖尿病などの生活習慣病リスクを高めます。
さらに、日中の強い眠気により集中力や注意力が低下し、仕事上のミスや交通事故の原因になる危険性があります。実際に警察庁の調査では、居眠り運転の経験率が約2倍、居眠り事故の経験率が約2.6倍にのぼることが報告されています。
2014年の道路交通法改正以降、治療を受けていない患者さまが睡眠時無呼吸症候群による影響で事故を起こした場合、飲酒運転と同等の厳しい罰則が科されるほか、治療を怠ることで運転免許の交付や更新が認められないケースもあります。
こんな症状はありませんか?
- 家族からいびきを指摘された
- 起床時に口が乾いている・頭が痛い
- 日中いつも眠い、集中できない
- 車の運転中に眠気が来て危ないと感じた
- 夜中に何度も目が覚める・息苦しさを感じる
睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群は、多くの場合、眠っている間に舌や軟口蓋(のどちんこを含む部分)が下がって気道を狭めてしまうことで起こります。気道が狭くなる背景には、肥満による脂肪の蓄積、もともとあごが小さい骨格的特徴、扁桃腺やアデノイドの肥大などがあります。こうした要因によって、睡眠中に空気の通り道がふさがれやすくなり、いびきや呼吸停止が発生します。
現在、日本では睡眠時無呼吸症候群の予備軍が500万人以上いると推定されていますが、その多くが未治療のまま放置されているといわれています。正常な呼吸では気道がしっかり開いてスムーズに空気が通りますが、舌や軟口蓋が下がると気道がふさがり、呼吸がしづらくなるのが特徴です。
歯科でできる睡眠時無呼吸症候群のサポート
実は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は歯科でもサポートが可能な疾患のひとつです。というのも、口腔内の状態や顎の動き、噛み合わせといった要素は、呼吸の通り道である気道と密接に関係しているからです。歯科医師は、こうした口腔の特徴から無呼吸の兆候を早期に見つけることもできます。
特に軽度〜中等度のSASでは、「スリープスプリント」と呼ばれる専用のマウスピースを用いた治療が効果を発揮します。この装置は、睡眠中に下あごをわずかに前方に保持することで気道を広げ、呼吸の妨げを軽減する仕組みです。
就寝時に装着するだけというシンプルさも大きな特長で、CPAP(持続陽圧呼吸療法)のような本格的な機器に抵抗がある方にも導入しやすい方法です。コンパクトで取り扱いも簡単なため、旅行や出張の際にも便利です。
無呼吸の自覚がない場合でも、いびきや日中の強い眠気などがある方は、まず歯科での相談も選択肢のひとつです。歯科的アプローチによって、睡眠の質を改善できる可能性があります。
睡眠の質が下がると、日常生活にも影響が…
睡眠中に呼吸が止まることで、脳や体は十分に休息を取れなくなります。これにより、
- 日中の眠気やだるさ
- 判断力の低下
- 運転中の事故リスク増加
- イライラや抑うつ傾向
など、生活や仕事に大きな支障をきたすことがあります。
また、口呼吸になりやすいため、むし歯や歯周病、歯ぎしり・食いしばりといった口腔トラブルを引き起こすリスクも。
歯科的な観点からのアプローチは、こうした二次的なトラブルを未然に防ぐ意味でも有効です。
睡眠時無呼吸症候群の治療法
睡眠時無呼吸症候群の治療では、専用のマウスピースを使って気道を確保する方法があります。
このマウスピースは、下あごを前方に出した位置で固定するように設計されており、その結果、睡眠中に下がってしまう舌や軟口蓋(のどちんこを含む部分)が持ち上げられ、空気の通り道が広がります。
通常、舌や軟口蓋が下がると気道がふさがれて呼吸がしづらくなりますが、マウスピースを装着することでそれらが上がり、スムーズな呼吸が可能になります。この治療は軽度から中等度の症例に有効で、就寝時に装着するだけで症状の改善が期待できます。
まとめ
「たかがいびき」と思われがちな睡眠時無呼吸症候群(SAS)ですが、実は命に関わる可能性もある深刻な疾患です。睡眠中に呼吸が何度も止まることで、脳や身体が十分な酸素を得られず、高血圧、心疾患、糖尿病、さらには脳卒中や認知症など、全身の健康にさまざまな悪影響をもたらすことがわかっています。
また、睡眠の質が著しく低下するため、日中の強い眠気や集中力の低下、仕事や運転中のミス・事故にもつながる恐れがあります。こうした症状は、本人だけでなく周囲の人々の生活にも影響を及ぼすため、早めの対処が重要です。
歯科では、この睡眠時無呼吸症候群に対して、口腔内装置(スリープスプリント)を使ったマウスピース治療など、身体に負担の少ないアプローチが可能です。特に軽度から中等度のSASの方には、高い効果が期待されています。
「最近よく眠れない」「寝ても疲れが取れない」「日中に強い眠気を感じる」といった症状がある方は、まずはお気軽にご相談ください。
歯科の視点から、睡眠と健康をサポートいたします。適切な診断と治療を受けることで、毎日の生活の質が大きく変わるかもしれません。