むし歯治療

「治療が痛そう」「歯をたくさん削られそう」
そんな不安から歯科医院に足が向かない方にも、安心して通っていただけるよう、当院では痛みに配慮し、科学的根拠に基づいた治療を行います。
むし歯は進行するほど治療範囲が広がり、歯を大きく削ることになります。歯は削るほどもろくなり、再びむし歯になりやすくなるため、健康な部分をできるだけ残す治療を行います。
当院では、むし歯の部分だけを丁寧に取り除く精密な治療を行い、そのために拡大鏡を使用します。視野を拡大することで、必要な部分だけを正確に見極めながら処置します。
治療の内容は説明動画なども活用しながら、できるだけ視覚的にわかりやすくご案内します。
治療最中も適宜記録を取り、おまかせの治療とならないよう情報共有することに努めます。
当院が大切にしているのは、正確な診断に基づいた治療を行うことです。むし歯の大きさだけでなく、歯の状態や周囲の環境を総合的に判断し、将来的なリスクも考慮して最適な治療方針をご提案します。
残念ながら、すでに一度治療を受けたところは再治療のリスク部位となります。1回の治療の精度を上げ、術前、術後の管理を適切に行うことで、あなたの人生を削らないアプローチをいたします。
むし歯とは

むし歯は、歯の表面にたまった歯垢や歯石に含まれるむし歯を起こす細菌(ミュータンス菌など)が原因で発症します。この菌は食べ物の糖分を分解して酸を作り出し、その酸が歯の表面を徐々に溶かしてむし歯を引き起こします。
しかし、むし歯は初期段階でほとんど症状が出ないため、痛みや違和感が現れた時にはかなり進行していることが多いのが現状です。
次のような症状があれば、むし歯が進行している可能性がありますので、できるだけ早く歯科医院での診察をおすすめします。小さな変化を見逃さず、適切な処置を受けることが大切です。
- 歯の表面が白っぽく濁ったり、茶色や黒色に変わっている
- 歯に小さな穴が空いている
- 甘いものや冷たい飲み物を口にすると歯がしみる
- 噛むと歯に痛みを感じる
- デンタルフロスや食べかすが詰まりやすくなった
- 口臭が以前より強くなった
このほかにも歯に違和感がある場合は、気軽にご相談ください。
当院のむし歯治療の特徴
過去・現在を正しく診断し、未来予測を目指す
当院では、ただむし歯を「削って詰める」ことを目的とせず、再発リスクや中長期的な視点を踏まえた治療を行っています。むし歯が進行してしまった原因がそのままでは、治療後新たにむし歯ができるまでの時限装置となるだけです。
個々のリスク評価、生活環境、食習慣、セルフケアの方法、フッ素の活用状況など科学的根拠に基づいたアプローチを行います。
まず「削って詰める」ことのできるお口の中の環境を整えることでその1回の治療がより長持ちすることにつながります。
説明動画とカウンセリングで「納得」の治療へ
患者さまに安心して治療を受けていただけるよう、視覚的にわかりやすい説明動画を使用し、現在のお口の状態や治療の流れを丁寧にお伝えします。
「何をされるかわからない」といった不安を取り除き、一人ひとりに合わせた治療方針を一緒に考えていきます。術中も口腔内写真あるいは動画を撮り、術後に情報共有することに努めます。
メインテナンスを重視した予防型のむし歯治療
むし歯の治療後も、再発させないことが本当の治療だと考えています。
そのため当院では、定期的なメインテナンスを通して、むし歯や歯周病を未然に防ぐ「予防につながる通院習慣」の定着を目指しています。
痛みが出る前に通っていただくことで、歯を削る・神経を抜くリスクを減らすことができ、将来の歯の寿命にも大きな違いが出てきます。
むし歯は放置しても治らない?
一度できたむし歯は、放っておいても元の健康な状態に戻ることはありません。むしろ時間の経過とともに悪化し、歯の内部や周囲の組織にまでダメージが広がっていきます。初期のむし歯は痛みや違和感がほとんどないことも多く、「そのうち治るだろう」と放置されがちですが、進行すればするほど治療は複雑化し、歯を大きく削ったり神経の治療が必要になったりすることもあります。
また、むし歯は必ずしも目に見える穴や変色として現れるわけではありません。
表面は一見きれいでも、内部で静かに進行しているケースも珍しくないため、自分の判断だけでは見逃してしまう危険があります。
こうした隠れたむし歯を早期に見つけるためには、歯科医院での定期的なメインテナンスが必要です。
専門的な機器や診察によって、目視ではわからない小さなむし歯を発見し、早期治療につなげることができます。
痛みの増加と神経へのダメージ
初期のむし歯では、冷たい飲み物や甘いものがしみる程度の軽い症状にとどまることがあります。
しかし進行すると歯のエナメル質が破壊され、内部の象牙質や神経にまで影響が及びます。
その結果、何もしていなくても強い痛みを感じたり、熱い食べ物や飲み物で鋭い痛みが生じたりするようになります。
歯の崩壊による咀嚼機能の低下
むし歯が歯の内部まで達すると、構造が脆くなり、欠けや折れが生じやすくなります。大きく崩れた場合、食べ物を噛むことが困難になり、食生活や栄養状態にも影響を及ぼします。
さらに放置を続けると、最終的に歯を失うリスクが高まります。
副鼻腔炎や骨髄炎などの重い感染症
むし歯が根の深くまで進行すると、細菌が歯の根元から周囲の骨や副鼻腔へ広がり、副鼻腔炎や骨髄炎につながることがあります。副鼻腔炎では、顔の奥にある空洞(副鼻腔)が炎症を起こし、鼻づまりや頭痛、顔の重だるさといった症状が現れます。
骨髄炎は顎の骨に炎症が及ぶ病気で、激しい痛みや腫れを伴い、完治までに長期の治療が必要となることも少なくありません。
*上記とは逆に、季節の変わり目などで、副鼻腔炎を発症し、上顎の奥歯の痛みとして感じる場合もあります。
命に関わる心血管疾患のリスク
放置したむし歯から細菌が血管内へ侵入すると、全身を巡り、血管内で炎症や血栓を引き起こす可能性があります。
これが脳梗塞や心筋梗塞といった重大な病気の誘因となる場合があります。口内のトラブルが全身の健康に直結することを理解し、早めに対応することが重要です。
口臭の悪化と全身への影響
進行したむし歯では、歯の内部で細菌が大量に繁殖し、腐敗臭のような強い口臭を発生させます。この臭いは、むし歯菌が歯を溶かす過程で生じる毒素や代謝産物が原因です。さらに細菌は歯周病を併発させ、口臭を悪化させる悪循環を生みます。
本人は気づきにくいものの、周囲には不快感として伝わりやすく、健康だけでなく人間関係にも影響しかねません。放置すれば細菌が血流に乗って全身に広がる危険もあり、軽視できない症状です。
むし歯の進行段階と主な症状・治療
C0:ごく初期のむし歯

歯の表面がわずかに溶けて白く濁って見える状態です。
この段階では歯を削る治療は行わず、食習慣の確認・改善、正しいブラッシングやフッ素塗布などのケアで歯の再石灰化を促し、自然治癒を目指します。
歯は一度削ると元に戻らないため、この段階でむし歯を食い止めることが非常に重要です。
ただし、痛みなどの自覚症状がほとんどないため、ご自身で気づくのは難しく、定期的に歯科検診を受けて状態をチェックしてもらうことをおすすめします。
C1:エナメル質のむし歯

歯の表面を覆うエナメル質が溶け、小さな黒い穴や茶色の変色が見られる状態です。
ほとんど痛みはありませんが、冷たいものがしみることもあります。
C0と同様のアプローチから始め、進行性が疑われる場合は、むし歯部分だけを丁寧に削り取り、削った箇所には歯科用プラスチック(レジン)を詰めて修復します。
削る量が少ないため、歯への負担も少なく、治療回数も比較的短く済むことが多いです。
C2:象牙質のむし歯

エナメル質の内側にある象牙質までむし歯が進行した状態です。
冷たいものや甘いものがしみたり、痛みを感じたりすることがあります。
象牙質は柔らかいためむし歯が進みやすく、早めの治療が必要です。
麻酔をしてむし歯部分を削り、レジンやインレー(詰め物)で修復します。
むし歯が大きい場合は被せ物で補うこともあります。
メタルフリー治療について
むし歯が大きく削る量が多い場合は、被せ物で歯の機能を補います。
当院では金属を使わないメタルフリー治療を推奨しています。
従来の銀歯には金属アレルギーや歯ぐきの変色(二次カリエスのリスク)などの問題があるため、さまざまな素材の中から患者さまの状態や希望に合ったものを選び、精密な治療を行っています。
C3:神経まで達したむし歯

むし歯が象牙質の奥深く、歯の神経まで達した状態です。
歯に大きな穴があき、冷たいものや甘いものだけでなく温かいものもしみるようになります。
強いズキズキとした痛みが出て、口臭も強くなることがあります。
この段階では感染した神経を取り除き、根管治療(根の治療)を行います。
治療後は被せ物で歯の機能を回復させます。
当院では可能な限り歯の神経を残す治療にも取り組んでいます。
C4:歯の根まで達したむし歯

歯の大部分がむし歯菌により溶かされ、歯の根にまで感染が進行した状態です。
神経が壊死して痛みが一時的に消えることもありますが、放置すれば悪化し、歯根に膿が溜まって腫れや激しい痛み、強い口臭が起こります。
歯を残せる場合は根管治療を行いますが、多くは抜歯が必要となります。
抜歯後はインプラントやブリッジ、入れ歯で噛む機能を補います。
また、むし歯菌が血管に入り込むと、心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病など全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
*歯の根が十分に長い場合は部分的な矯正処置と歯周外科を併用することで保存できる可能性もあります。(保険適用外)
歯の神経を残すための選択肢
歯髄温存療法
むし歯が神経のある歯髄にまで進行してしまった場合や、歯の破折で神経部分が露出してしまった場合に、従来は神経を抜く「抜髄」を行うことが一般的でした。
しかし、歯髄は歯に水分や栄養を供給し歯の強度を保つ働きや歯の異常を察知する働き、歯を感染から守る働きなど歯の健康を維持するための大切な役割を担っているため、抜髄には多くのリスクが伴います。そこで、抜髄を回避し歯髄を残すために行う治療を「歯髄温存療法」といいます。
当院では、可能な限り神経を残せる治療を検討し、患者さまの歯の健康をできるだけ長く維持できるよう尽力しております。(一部保険外適用)
歯髄温存療法でできること
歯の神経を残すことができる
歯髄温存療法によって神経を残すことができ、歯の異常があった際にすぐに察知し対処することができます。
また歯髄には第二象牙質を形成する働きもあるため、歯の感染リスクを軽減することにもつながります。
歯の強度を保つことができる
歯髄には歯に栄養や水分を届ける役割があるため、歯髄を温存することで歯の強度を保つことができます。
抜髄した歯は栄養が届かなくなるため、徐々に脆くなり将来の失歯リスクを高めてしまう可能性があります。
抜歯を回避できる
歯髄を残すことで歯の強度や感知機能が保たれるため、むし歯や歯周病の重症化を防ぐことができます。
歯髄温存療法を行うことで歯の健康寿命を伸ばし、抜歯リスクを大幅に軽減することが可能です。
むし歯予防の重みの違い
「歯磨きしないとむし歯になっちゃうよ!」このような言葉を日常聞く機会もあるかもしれません。
しかしこれには一部間違いを含みます。歯磨きをしないと必ずむし歯になるわけでもなく、歯磨きをしたら必ずむし歯を防げるわけでもありません。
むし歯はさまざまな要素が重なり合って発症する「多因子性の疾患」と言われております。予防方法として下記のようなことが考えられます。
- 規則正しい食習慣
- 糖分の制限
- 歯垢(プラーク)を落とす(ブラッシング、歯間清掃)
- フッ素の活用
しかし、それぞれの項目で期待できる効果には違いがあります。
科学的根拠として一番の重みがあり推奨されるのは「フッ素の活用」です。これなしにはむし歯予防は達成できないとも言われております。
フッ素が身体によくないと敬遠される方もいらっしゃいますが、身体に害を及ぼすような使い方をしなければメリットの方がはるかに大きい物質です。
とにかく身体に悪いと排除するのではなく、正しく怖がることで最大限その効果を活かすことのほうが賢いと私たちは考えます。
個人の特性に合わせたむし歯予防プログラムを構築し、効率よく予防していきましょう。